改正労基法に注意する

労基法が改正されて、どう変わるの?

時間外労働について詳しくはコチラへ!

その1 1か月60時間超えの時間外労働の割増賃金率が引き上げられます。

その2 時間外労働+休日労働で月100時間未満、2~6か月平均80時間以内、時間外労働は年720時間以内等、残業時間にも上限が設けられました。

その3 特別条項は年6回まで、こちらの36協定にも割増賃金率を明記しなければなりません。

その4 労使協定により、年次有給休暇を時間単位で取得できるようになりました。

就業規則、賃金規程等における具体的な作成ポイントとは?

労基法が改正されて、どんなことが変わるの?

今回は主に「長時間労働の抑制」を目的に改正が行われています。

厚生労働省のパンフレットでは、過重労働による健康障害を防止(例えばメンタル不全)、少子化問題の背景にはライフワークバランスが問題であると、指摘しています。

長く続いているこの不況の中、「いま、長時間労働を規制?」という印象です。

どことなく違和感を感じますね。

本来なら出勤する日に、「生産調整のため休業」を余儀なくされている会社さんもあるのではないでしょうか?

この不況で1か月60時間を超えるような「長時間労働」は、少なくなっているのが実情かと思います。

一方で不況のためリストラが行われ、一定の少人数に多くの仕事が集中し、長時間労働が恒常化している、といった状況に出会うこともあります。

とは言ってもまずは法改正をここでご確認いただき、ぜひ今後の景気回復時に備えて、社内の体制づくりにお役立てください。

改正ポイントは4つあります。

その1 1か月60時間超えの時間外労働の割増賃金率が引き上げられました。 

  • 1か月に60時間以上時間外労働をすると・・・ 1か月の起算日から累計して、60時間を超えた時点以降の時間外労働について、割増率が現行25%増し→今後50%増しとなります。 例えば・・・・76時間時間外残業をしたとき、60時間分25%増し+超過した16時間分50%増しで計算します。
  • 労使協定を締結すれば、現行25%との差額となる引上げ分の25%のみ「有給の代替休暇付与」も可能です。現行の25%増しの分は通常通りの割増賃金での支払いが必要です。
  • 中小企業に該当するときは50%割増が猶予されて、現行通り25%増しだけですので、「代替休暇付与」は適用されないことになります。
  • 深夜労働(22:00?5:00)25%+60時間超えの時間外労働50%=75%増しが想定されます。
  • 法定休日(1週1回の休日)は「休日労働」になりますので、ここでいう「時間外労働」には含めません。 法定休日は現行通り35%増しです。変更ありません。法定外休日は「時間外労働」に含まれますので、注意しましょう。
  • 中小企業は当分の間(3年)は適用が猶予されます。

その2 時間外労働+休日労働で月100時間未満、2~6か月平均80時間以内、時間外労働は年720時間以内等、残業時間にも上限が設けられました。 

その3 特別条項付きの36協定には割増賃金率を明記しなければなりません。 (企業規模にかかわらず、適用)

1か月あたり時間外労働が45時間を超える特別条項付きの36協定(時間外労働協定)を締結する場合は、割増賃金率を明記しなければなりません。

  • 上記割増率は25%を超える率にするように「努める」こと。←努力義務
  • 時間外労働をできるだけ短くするように「努める」こと。←努力義務

その4 労使協定により年次有給休暇を時間単位で取得できるようになりました。 (企業規模にかかわらず、適用)

これまで年次有給休暇は1日または半日単位を取得することが原則でした。

今後は労使協定を締結すれば、1年に5日を限度として年次有給休暇を時間単位で取得できます。

例えば・・・1日8時間所定の会社なら、1時間を8回に分けて取得できます。

  • 時間単位の取得は、会社さんの有給休暇の残日数管理が複雑になることが予想されます。

    就業規則、賃金規程における具体的な作成ポイント

    長時間労働を放置しますと、会社のリスクは増していきます。賃金時効は2年から3年に伸びています!

    労働基準監督署の監督指導、在職者と退職者からの未払い残業代の請求訴訟、労災の業務上判断とそれに付随した民事損害賠償などがあります。

    労働時間を適正に管理しないと、それだけで「会社のリスク」となる時代になってきたのです。

    労使の信頼関係と会社を守るため、就業規則、諸規則整備と並行して「適切な労働時間管理」を徹底しましょう。

    時間単位の年次有給休暇は法的義務ではありませんので、あくまで労使協議で決定します。

    導入すべきかどうかは、労使のニーズ、会社側のメリットやデメリットを考えて決めましょう。

    もし導入する場合は、手続きや制度内容を就業規則、賃金規程内に記載しておくことが必要になります。

    特に労使協定を締結するときに選出する「従業員過半数代表者」を民主的に適切に選びましょう。

    事業主さんが一方的に「君、やりたまえ!!」などと決めてしまうと、後日トラブルの元になります。

    もし従業員さんからの推薦などであっても選出過程を明確にしておくことです。

    例えば、推薦された代表者名を事業所内に掲示して一定期間周知させる、社員の回覧で信任されたことが分かるような書面を残すなど、民主的に選出することが求められています。

     

    最後に・・・・ 長時間労働に対応するにはまず、不適切な残業をしていないか?要チェックです!!

    「上司の許可なし残業」「ダラダラ残業」「お付き合い残業」「残業代獲得残業」など・・・

    御社ではいかがですか?